ご覧いただきありがとうございます。社長の菊田です。社長コラムの2回目は、オスガーマシンの事業である「パイプ加工機械の製造」について、私がどんなところに面白味を感じているかを書いてみたいと思います。パイプって、技術面からも、社会的な面からも、そして経営者として見てみても、とっても面白いんですよ。
私がこの業界に入って、初めに感じた面白さを言葉で表現するなら「パイプって、こんな風にも加工できるのか!」ですね。その時見たのは、パイプの端末加工と呼ばれるものの一部でしたが、パイプの筒の形にリング的な金具を溶接するのかなと思っていた加工が、端から機械で圧を加えることで、ぷくっと膨らませてリング的なものをそのパイプ自体から生み出していくんです。たったそれだけのことですが、目の前で見て、直感的に「これは面白い!」と思いました。加工技術によって、あんな形にもこんな形にもなるんだ―その自由さを感じた瞬間でした。
加工されたパイプは基本、何かしらの部品と組み合わさって、その中を液体などが通ることになります。つなぎ目で漏れることは許されないわけで、生産されるパイプの径のズレなどについても、年々厳しい目で見られるようになっています。0.03ミリとか、そんな世界です。それまでの成功例や使える金型などをもとに作っても、素材やその時の環境などで微妙にズレが生まれてしまうものなんですが、ズレを極限まで減らすのも面白さのひとつです。ピタッと合うものが揃ったときの快感は、たまらないですね。
経験を積んで、ある程度パイプのことが分かるようになってから気づいたのは「最適ルートを考える面白さ」ですね。私たちは、パイプ加工のための機械をほぼオーダーメイドで作るのが仕事です。お客様から図面や工程を示されることもありますが、「こういうものが欲しい」というゴールは決まっているけれど、その道のりは考えてほしいというオーダーもよくあります。そうした時が腕の見せどころです。
ひとつの加工にも、いろんな工程があります。それをどういう手順でやるのか、そのためにどんな機械をつくるのか、解は1つではありません。自働化を望まれる時などは「ここは人間の手でやった方が良いですよ」という話をしたりもします。そうした中で自分の提案にお客様が納得され、採用された時は嬉しいですね。これまでの失敗例やそれを踏まえてどう着地させたかなどをお話すると、特に喜ばれます。そのあたりはやはり、会社として積み重ねてきたものが信頼につながっているなと感じます。
パイプというのは、シンプルな存在ですが、暮らしのあらゆるものとつながっています。そこも面白さややりがいにつながっていると思います。例えば車もエアコンも、パイプがなければ動きません。一見、目立つところにはいませんが、無くてはならない存在。この 「縁の下の力持ち感」が私は好きです。
これとはまた違う意味で「暮らし」の近くにいるのもパイプです。日本のパイプ加工は、小さな下請け、孫請けさんたちに支えられてきました。彼らは自宅の横に工場を構え、家族でパイプ加工に取り組んできました。30年ほど前に営業で群馬県に行ったときは、そんな工場がそこら中にあったのを、実際に見て驚いたものです。
そうした小さな工場にこそ使ってもらえるよう、当時、社長大菅の声掛けで生まれたのがわが社のヒット商品「OSUGA-10」。必要な機能に絞ったCNCパイプベンダーで、価格をこれまでのベンダー機の半分程度に収めたものでした。
導入を決めた事業者さんが「うちが欲しい機械はきっと周りの工場でも欲しいはず」と、周りの事業者さんまで紹介してくださった時には感動しましたね。本当に必要とされているものを作っているんだと。その気持ちは今でも「誰もが使いやすく、役立ててくれるものを」という姿勢として、オスガーマシンの中に残っている気がします。
社長となって経営者目線でパイプ加工の世界を見ると、あぁオスガーマシンは面白いところにいるなと感じますね。まず、同じような事業をしているところが圧倒的に少ないです。製造業の中で、パイプ加工を扱うところが少ないですし、その中でもパイプ加工をするための機械の製造や自働化を担う企業はかなり珍しいです。
そして、自動車産業のような大きな業界ではないので、改善がし尽くされていない。私がこの業界に入ってから40年以上、昔は職人の勘でやっていたことが数値化して管理できるようになったり、鉄が主流だったものが軽くてさびにくいステンレスやアルミが多用されるようになったりと、方法や素材の小さな変化は多々ありましたが、例えば「パイプを曲げる」という一つの動きについて、画期的な何かがあったかというと、何もないんですよね。
パイプはまだ「大きく変わる」がいつか生まれる余地があると思っています。それに、我々中小企業が寄与できる可能性を感じられることが、大きな魅力。大企業がたくさん関わっている分野では出番が無いことも、この業界ならその「次の一歩」を自らが作り出せるかもしれないというワクワクがあります。
ここ数年、「自働化」についての需要が高まって来たなと感じています。これまで人がやって来たことを、無人化できないかと。また、生成AIの存在も、私たちの仕事を変えていきそうです。
人の代わりに機械ができること、それでもやはり人がやるべきこと、人と機械が協力すること……。自働化を担う企業だからこそ、機械との最適な関係をさぐりながら、職人の勘と経験をどう次へ伝えるか。効率化できるところはして、感覚が生きるところはそれを生かし、この先の道を作っていかねばなりません。それは大変でもあり、面白くもあること。スタッフと共に試行錯誤しながら、パイプ加工の面白みを味わって進んでいきたいと思います。